ビジネスパーソンの教養 Vol.009:禅から学ぶ今日を生きる資格
「禅」と言えば
多くの方は坐禅や瞑想を
思い浮かべるのではないでしょうか
しかし、禅宗の曹洞宗では
生活の一挙手一投足が坐禅と同等の修行として
位置づけられています
今年の5月、福井県にある永平寺で
一泊二日の参禅体験をしてきました
永平寺は曹洞宗の大本山であり
鎌倉時代に道元禅師によって開かれたお寺です
話を聞く姿勢、廊下の歩き方
歯磨きや入浴、掃除、雑用に至るまで
全てに丁寧に心を配るため細かな作法が決められています
もちろん、その作法を定めた人は道元禅師です
そして料理をする時の心得は
「典座教訓(てんぞきょうくん)」という名で
食事を頂く時の作法は
「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」という名で
まとめられています
これらは出版されているので今でも読むことができます
永平寺での参禅体験の話に戻りますが
精進料理を頂いた時
もちろん「いただきます」を言う訳ですが
曹洞宗ではそれが赴粥飯法にある
「五観の偈(ごかんのげ)」にあたります
つまり食事を頂く前に5つの教えを再確認するのです
簡単にご紹介します
(1)
この食事が目の前に運ばれるまでに多くの人の労力と
天地の恵みがあることを忘れてはいけない
(2)
わが身、わが心を省みて人としての行いに
欠ける所が無かったか反省して頂戴する
(3)
むさぼりの心で食事をしない
食事は心と体を養う尊い行いである
(4)
食事は心と体を養う良薬である
単なる食事だと思ってしまえば
美味しいや不味いに心を奪われてしまう
(5)
人としての道を成すために
今、この食事を頂きます
これを知った時、目が覚めるような思いがしました
食材は野菜や穀物、魚、肉など
全て「命」です
その命を我々は朝昼晩と3食頂きます
つまり
命のバトンを受け継いで今日という日を生きています
今日という一日は
他の命を頂くに値する一日だったろうか
お客様や社会にどんな貢献ができただろうか
永平寺で参禅体験をしてから
食事のたびにそんな思いを抱くようになりました
わいわい楽しい食事や
テレビや動画を見ながらの食事をすることもありますが
時には真剣に食事と向き合う時間も作ってみてください